不安と期待が入り交じって納車されたHUMMERに乗ってから、
丁度2年が過ぎたので、僭越ながらHUMMERについてのこれまでに
経験した故障、修理、等についてまとめてみました。
何故僭越ながらかというと、
既に20年以上乗ってるベテランオーナー、コアなマニアがおられる中、
私のようなたかだか2年しか乗ってないオーナーが記事を書くなど、
本当はおこがましいから、という気持ちからです。
でもこうした特殊な車の事を徒然と書いておられるオーナーは一握りで、
これからオーナーになろう、或いは乗ってみたいと思ってる人に、
少しでも参考になれば、との思いで書きました。
それではどうぞ。
Contents
HUMMERの成り立ち
今から15年ほど前、ハマーH2が流行った頃があったんですが、
ハマーH2が脚光を浴びたおかげで、HUMMERも注目されるように
なったんですよね。
元々、HUMMERは米軍が軍用車両としてHMMWV(通称ハンヴィ-)を
使用していたのを、あの有名なアーノルドシュワルツェネッガーさんが
どうしても民間で乗りたい、と製造会社であるAMゼネラルに掛け合って、
民間向けに改良して販売したのが始まりですね。
ですから当初はHUMMERといえばその車しかなかった訳で、
H2が出てからややこしいので、H1という名前が生まれたそうです。
だから私が乗るのはH2誕生以前なのでHUMMERなんです。
元は軍用車ですから、足回りなどはハンヴィーと共通なわけで、
乗用車としての装備や機能、例えばエアコン等は、いわば後付けしたものです。
HUMMERの特徴、良い点と悪い点
さて、2年乗ってみて私が感じた事を書いてみます。
まずHUMMERの特徴として特筆されるのが、
CTIS(セントラルタイヤインフレーションシステム)を備えてること。
これで場所によってタイヤの空気圧を自由に車内のスイッチで出したり入れたり
出来ます。
よく、雪道は空気圧を減らしてタイヤトラクションを稼ぐ、
なんて話を聞きますが、HUMMERはこれを車内で調整出来るわけです。
とても便利なんですけど、エアー漏れがよくあります。
駐車してて、久しぶりに乗ろうとしたら、空気が減ってぺちゃんことか・・・
また、純正ホイール内に特殊なゴムが入れてあり、パンクしても低速でなら48㎞くらいまで
走行可能になってます。
これも戦場で銃撃されたりした場合を想定しての事みたいです。
エアー漏れがあると漏れを探すのが厄介なケースもあり、それが嫌でCTIS自体をカットし、
普通に使ってるオーナーもおられます。
他にも数点特徴があるけど、そんな事ばかり書いても仕方無いので、
僕が乗ってみて感じた良い点と悪い点を。
良い点
・目立つ、乗ってて楽しい
・他人とまずかぶらない
・長距離でも意外と疲れない(但し、あくまで運転手のみ)
・車内でソーシャルディスタンスを保てる(^^)
・プラモデル感覚で車をいじれる(作りが雑)
悪い点(自分では悪いとは思わないけど、他人は多分感じるかも)
・煩い(車内で会話は大声でないと成立しない、特に高速は)
・乗り心地は悪い(まさにトラック!)
・目立ちすぎる(じろじろ見られる)
・乗り降りは大変(背の低い人は特に大変、女性はスカートは無理か?)
・いつ故障するかわからない恐怖がある
・都会では駐車場に困る場合が多い
・こんなに大きいのに4人乗り
とまあ、書いてみると悪い点が多いような・・・
でも私はそんな点も含めて大好きなんですけどね(^^)
一番困るのは整備と修理 やれる店は限られる
私は今回HUMMER購入にあたり、事前に予備知識を得てから車両チェックに
臨みました。
予備知識として勉強させてもらったのは、有名なクラブ、ハマーオーナーズクラブジャパンです。
このクラブのサイトに、エッセイがありまして、1999年から2016年辺りまで、
いろいろな投稿があります。
そこはまさにHUMMERの修理、整備、故障事例の宝庫なのです。
ここのエッセイを読んで、HUMMER購入を決断したオーナーは多いと思います。
このエッセイ中に、購入時のポイントも何度か投稿しており、参考にしました。
私も購入時のチェックポイントを頭に、入念に点検してから購入交渉しました。
それこそ、寝板で下回りも照明当てて隈無く点検しました。
まあ、それでも納車してから色々ありましたが・・・
話を戻すと、地方オーナーが一番困るのは修理と整備なんです。
私の場合は、近所にやってくれる所はありませんでした。
というか、これまでH2を面倒みてくれた修理工場を当てにしてたけど、
わからないから出来ない、
で終了です。
購入してからわかったんですが、結局総合的に修理や整備が可能な店は、
日本では数える程でしょう。
その中でも有名なのが、https://www.skyauto.co.jp/
です。
ここには購入前にお店に行きました。
あいにく在庫車は全て売約済みで、縁が無かったんですが、
工場を見学した際、他府県ナンバーのHUMMERが一杯でした。
聞けば、皆さん車検か、修理だそうで、私は衝撃を受けました。
関西、山陰方面から関東まで車検なんて、恐ろしい話です。
でも、そこに持ってくるだけの理由があるんです。
そう、結局よそで修理出来ない、だからここに来た、
そんなオーナーばかりなわけです。
これは偉いことになった、HUMMER買っても今後維持できるのか?
大きな不安がよぎりました・・・
高くても良い個体を購入した方が良い訳
私は購入後に、オーナーズクラブのミーティングに参加しています。
この車を維持、管理していく為には、クラブとの交流が絶対、との思いで。
そこで事務局長であるI氏から聞いたお話があります。
HUMMERを知らないお店で購入後、結局修理や整備が出来ずに、
スカイオートに持ち込むなら、最初から良い個体を少々高くても
スカイオートで購入した方が良い、という事です。
ここで問題なのが、良い個体というくだりです。
これを素人が判断することは無理です。
車のプロでも、HUMMERの事は判断出来ないと断言します。
それほど特殊な車なんですよ。
しかも、新しい車ですら、製造から15年経過してるんです。
良く購入されるのは1999年~2001年辺りだと思います。
これとて既に20年前の車両ですからね。
何も無いわけが無いんです。
しかも、基本価格は高めです。
同じ価格を出すなら、きっちり整備してあるHUMMERが良いのは
誰でもわかることです。
外観の綺麗さに惑わされては駄目です。
余談ですけど、スカイオートさんでは売約後から納車までに、
1ヶ月程度は掛かってるみたいです。
最初は、そんな長いこと何をやってるんや?
と思ってましたけど、要するに売約後から点検整備するんですけど、
この時に徹底的にやるみたいで、
駄目なパーツは交換してしまってるみたいです。
ね?安心出来るでしょ?
外装は綺麗にするのは簡単ですけど、エンジン、ミッション、
下回りがしっかりしてる個体を探すべきです。
因みに、私は個人委託販売で購入したんですけど、一応整備点検付き、
という事でやってもらったんですが・・・
要するに通り一辺倒の点検をしてだけで、購入前に指摘した修理箇所は、
パーツオーダーをしてましたが、待てど暮らせどパーツが入手出来ず、
結局そのまま納車して、自分でパーツ入手したんですよね・・・
私のは1996年型です。
この年式はエンジンがターボディーゼルになった年で、ここから年式が
上がる度に色々と性能や装備が上がってます。
私があえてお勧めするなら、98年以降ですね。
エアコンも最終型が付いてて、良く効くみたいですし。
そんな古いのじゃなくて、最終型の2006年でいいじゃないか、
そんな声も聞こえそうですけど、2006年はエンジンも全く別物で、
価格も建て売り住宅価格くらいはしますから、普通の人は手が出ません。
古くても良い個体もありますが、購入店には気を付けた方がいいです。
HUMMERの故障や修理に関して
HUMMER自体が既に15年~25年も経過した車両なので、
当然どれだけ程度が良くても故障やトラブルは避けられないです。
具体的にどんなトラブルがあるのか、知ってる範囲で紹介します。
① 足回りに関するトラブル
② エンジン・ミッションに関するトラブル
③ 燃料系のトラブル
④ エアコン関係のトラブル
⑤ 内装・スイッチ関係のトラブル
⑥ その他のトラブル
要するに、全ての箇所について色々あるんですよねえ。(^^)
① 足回りに関するトラブル
・ハブリダクションからのオイル漏れ→内外の打込みシール交換
・ピットマンアーム、アイドラアームの折れやガタ→交換
・アッパー、ロアアームのガタ→ボールジョイント交換
・デフやドライブシャフトからのオイル漏れ→シール交換
② エンジン・ミッションに関するトラブル
・エンジンクラック→エンジン載せ替え(96~99年までに多い)
・エンジン本体からのオイル漏れ→液体シールなのでヘッド外して修理
・エンジンとミッション継ぎ目からオイル漏れ→これも液体シールです。
・トランスファーからオイル漏れ等→ケースによって様々な修理あり
・ターボブーストセンサーエラー等の電気系パーツ交換
*ターボブーストセンサー修理については、
HUMMER エンジンチェックランプが再点灯!ターボブーストセンサー交換です。
に詳しく書いてます。
③ 燃料系のトラブル
・燃料ポンプのトラブル→消耗品のため、寿命になれば交換
・燃料タンクからの燃料漏れ→これも場合によるが大がかりな修理
・燃料フィルターからの燃料漏れ(フィルター交換時にきちんと出来てないから、
燃料漏れがあるそうです)
④ エアコン系のトラブル
・コントローラーの故障→96~97年の故障多し、抵抗交換か代用品交換
・エアコンユニット内のトラブル→部品で出ない場合あり、現物修理になる
・エアコンドレン排水詰まりによるユニット水没→98以降はブロアモーターが
下に付いてるので、水没する。定期的に排水掃除が必要
・ガス漏れ→これは普通の車と同じような修理パターン
・エアコンレシーバーの詰まり→レシーバー内の活性炭?みたいな粒が
エアコン配管内に漏れ出すと、清掃も含めて大掛かりな修理に・・・
*エアコン関係については、
温度調整出来ないハマーのエアコンコントローラーを自分で修理する方法
HUMMERH1 DIY点検整備 オイル交換、エアコン点検で快適な夏へ!
に詳しく書いてます。
*HUMMERのエアコンは効きません、特に97年以前のモデルはフロントが
効かないですね。車体の割にエバポレーターが軽四並みのサイズです・・・
⑤ 内装・スイッチ関係のトラブル
・スイッチやダッシュパネルカバーが脆くて割れてる場合が多い
既に欠品パーツあり、アルミパーツが出てるがとても高価
・ドアハンドルがグラグラ→カイダック樹脂が脆くて壊れてる、
対策ハンドルがあるが、これも高価
⑥ その他のトラブル
・CTIS関係のエアー漏れ→HUMMER特有のオプションで、車内から
スイッチでタイヤの空気を出し入れ出来るが、エアー漏れが多くて、
中にはこの機能自体を殺してるオーナーも多い
・各ゴムホース類の劣化、漏れ→HUMMERはいろいろな場所でゴムの
ホースを使用してて、これが劣化によりひび割れたりしてて、漏れる
クーリング系、燃料系、ステアリング系も使用している。
・ステアリング関係のトラブル→ステアリングギヤボックスのオイル漏れや、
固定箇所のクラックなど
とまあ、代表的なのだけでもこれだけありました・・・
これらはいつどこで爆発するかわからないモノもあって、
それについては運に任せるしかない場合も・・・
ですから普段からおかしい所が無いか、点検が必須だと思います。
普通の車なら、どこでも修理可能ですけど、
HUMMERの場合はパーツ自体も国内でおいそれと揃いません。
仮に揃えても、修理できるお店が少ないです。
終わりに それでもHUMMERが大好き(^^)
こうして書いてみると、良いところが少ない印象ですけど・・・
それでもHUMMERが大好きなんです。
手が掛かる子が可愛い、やないですけど、
車と対話することが楽しくなってきました、私は。
それまで乗ってきたアメリカ車なんて、全て業者任せでしたし、
自分でやってみようなんて考えたことすら無かったんです。
それがHUMMERを手に入れてから、
乗りっぱなしでは維持出来ないし、修理頼める店は近くに無いし、
こうなれば自分で挑戦していくしかない、
そう考えたんです。
それでクラブに関わって、関東と九州に師匠を得る事が出来、
どうしてもわからないことは聞いて作業してるわけです。
とはいえ、所詮は素人、それと屋外駐車ですから出来る事は限られます。
でも頻繁に手を入れたり点検するクセを付けることで、
あれ?
と思える状況を早期に発見できるんですよ。
それによって大事に成る前に早めに修理したり、補修することで寿命も
延ばす事が可能になるんですわ。
この記事を読んでくれてる方は、多少はHUMMERに興味がある人と思いますけど、
一歩踏み出すことで広がる世界もあるので、
興味があるなら、是非この世界に足を踏み入れて欲しいです。
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