現場管理担当者の自殺に思う事 建設業の福利厚生改善できるのか?Ⅱ

   

続きです。

前回は建築業界を縛る工事請負契約書について、

工期優先の為、プライベートと労働環境は二の次、

ということまで書いた。

今回は完結編として、天気と職人、下請負業者との関係について

どうすれば自殺まで追い込まれる精神的問題をクリアできるのか、

私なりの考えを書いてみようと思う。

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天気と職人、下請負業者との関係

我々の業界にとって工期に左右される問題のひとつは、

天気だ。

晴れが続くなら工事は順調に進むけど、雨が降れば

出来ない仕事も出てくる。

建物本体を作る、躯体工事というものは特に天候に左右

される。

雪が降っても工程の遅れが出る場合もある。

こればかりは自然相手なのでどうしようもないのだ。

加えて職人、下請負業者の問題もある。

雨が降るのに工期が無いのでやれ、というのは横暴だろう。

職人とて人間、機械じゃないんだから、無理がきかないこともある。

ましてや我々管理業務に携わる人間は自分の部下でもない、よその

会社の人間を使って工事を進めるわけで、牛や馬を使うようにいかない。

特に若い社員にとっては下請負業者の職人を使うのは大変だ。

自分よりはるかに年上の、下手すれば親以上の年齢の人を使うのだ。

エラそうに言っても逆にやりこめられるだけだろう。

そんな職人達を使って工事を進めるのだから神経も磨り減る。

明日で終わらせたいから何人入れろ、なんて無理は若い子には無理。

全てお金が絡んでるんだから、そんな沢山人入れてロスが出たら

そのお金は払ってくれるのか、と詰められるだろう。

業者の都合で休みでも工事を進めるという状況

雨とか天候の問題で遅れて、それでも工期通りに進めるには、

どこかで無理をする必要が出てくる。

そんな時は土曜日、祝日、日曜日の出番になる。

職人というのは勝手な奴も多くて、日曜日も関係なく

ずっと仕事を続けてる、っていう変な人もいる。

そんな人は自分の現場が休みに作業できない場合は、

他の現場で人を集めてないか、同業者とかに連絡して、

来てほしいと言われたら仕事に行くのだ。

だから建築では割合休みに職人が集まる、というケースがある。

例えば平日は2人でずっと現場を進めてて、日曜日に応援を

かき集めて5~6人放り込んで一気に片付ける、とかをやる。

遅れてる現場の責任者としては非常にありがたいんだけど、

その代り休みはなくなってしまう。

こうして休みも現場は動き続けるので、疲労が溜まる一方だ。

却って近隣協定とかで日曜、祝日は仕事できない、

と約束事をしてる現場の方がきっちり休みは休める。

業者も日曜日はできない、とわかってるから、そうなると

何が何でも平日に人を集めないといけなくなるから、

何とかなっていく。

休日出勤が続くと疲労が溜まって抜けなくなってくる。

今でも我々の業界は工期に追われて日曜日もずっと工事してる、

という現場がある。

こんな現場に配属された社員は、悲惨だ。

そこにはプライベートなんてものは無いに等しい。

そして1ヶ月、2ヶ月と休み無しが続くと、

惰性で仕事するような感じになっていく。

注意力や判断力も鈍ってくる。

それでも工事は止められないので進めるしかないのだ。

現場所長の考え方に配属社員は左右される。

現場自体が元から工期が無い場合は、誰が配属されても

それなりに大変だけど、それよりも配属される現場所長の

考え方によってもかなり待遇に違いが出てくる。

現場所長が心配性で、経験も少ない場合は自分にも余裕が

ないので当然残業、残業、休日出勤になってしまう。

配属された社員は帰りたくても帰れない、休みたくても

休めない、ということになるのだ。

また下請負業者に押しが利くかどうか、という問題もある。

結局は人間対人間なので、ある程度神経が太くないと現場所長は

やっていけない。

配属社員はそんな所長を見て育っていく。

自分のことで精いっぱいな所長は、所長失格だろう。

国交省の取り組みについて

今回の過労自殺問題を受けて、国交省も本腰でこの問題に

取り組んでいくようなので、非常に喜ばしい限りだ。

例えば、工事請負契約書にも雨で遅れた場合はその分、

工期も延長できる旨の文章を盛り込むらしい。

そして土日や祝日は完全に休みを取るようにしていくとか。

これが実現できたら本当に素晴らしいことだ。

世界中の建設業において、恐らく日本が一番工期に厳しく、

かつ絶対に工期を守るという信頼性があると聞く。

でも海外なんてもっと適当だし、逆に働く人間のことを最優先

しているんだろう。

でも仮に契約書にこのような文章を入れたとしても、

日本ではその裏で下話が出来てて、実は契約書はこう書いてるけど、

実際はこの日までに何とかしてほしい、それを条件で契約したい、

とか言われたら、仕事がどうしても欲しい会社なら飛びつくだろう。

こうした悪しき風習を直さない限りは、これからも過労自殺問題は

なくならないと思う。

要は、会社が社員の労働環境を守らない限りはこうした問題は

建設業界では無くならないと断言しておく。

工期が遅れたら会社も損害、担当社員も叱責される今の状況を、

今回の件で見直されていくことを切に望む。

 

 

 

 

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